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燃料電池

燃料電池の発電原理
水の電気分解の逆。それが燃料電池の原理

燃料電池は、「電池」と呼ばれていますが、“発電装置”と言った方がふさわしいものです。
乾電池と違うのは、使い捨てではないという点です。水素(H2)と酸素(O2)があれば電気を作り続けます。

燃料電池は、「水の電気分解」と逆の原理で発電します。水の電気分解は、水に外部から電気を通して水素と酸素に分解します。燃料電池はその逆で、水素と酸素を電気化学反応させて電気を作ります。


燃料電池のしくみ
燃料電池本体は「セルスタック」といいます

燃料電池本体をのぞいてみると、板のようなものがたくさん積み重なっています。
これを「セル」といいます。

ひとつのセルが作れる電気は、電圧約0.7Vです。そこで、大きな電気を作るためにセルを積み重ねます。乾電池を直列につなぐのと同じことです。燃料電池本体は、セルが積み重なってできていることから、「セルスタック」と呼ばれます。

たとえば1kWの電気を作るには、50枚ぐらいのセルを積み重ねます。

セルとセルの間には「セパレーター」があります。となりどおしになる水素と酸素の通路を仕切り、さらに電気的につなぐ役割をしています。


燃料電池の特徴
長く使える(乾電池のように使い捨てではない)

燃料電池は、都市ガスから取り出した水素と、空気中の酸素を、電気化学反応させて電気を作るので、水素(都市ガス)と酸素(空気)を送り続ければいつまでも発電することができます。

都市ガスの新しい利用法

燃料電池では燃料として都市ガスを利用しますが、今までの都市ガスの使い方とはまったく異なります。ガスを燃やすのではなく、電気化学反応で電気エネルギーを作ります。
燃やすことによるCO2の発生がありません。まさに、都市ガスの新しい有効な利用法といえます。

発電の効率が高い

燃料電池は、電気化学反応によって燃料の持つ化学エネルギーを直接、電気エネルギーに変換します。
今までの発電のように、「化学エネルギー-(ボイラーで燃やす)→熱エネルギー-(熱でタービンを回す)→運動エネルギー-(電気に変える)→電気エネルギー」というふうに、エネルギーの形を何度も変えることによって発生する損失が少なくてすみます。つまり、発電効率が高いということです。

排熱も利用できる

燃料電池は、水素と酸素が反応する時に出る熱でお湯をわかすこともできます。使用する都市ガスのエネルギーの約40%が電気に、約40%が温水や蒸気になります。合計すると約80%が有効に利用できる、省エネルギーの点で優れた装置です。

環境にやさしい

水素と酸素が反応して発電した結果、生まれる物質は水だけです。大気汚染の原因になるチッ素酸化物(NOx)がほとんど出ません。水素を作る際に二酸化炭素(CO2)が発生しますが、総合効率が高いので、同じ電気・熱を使った場合の発生量は少なくなります。

街の中でも静か

燃料電池には、エンジンやタービンがないので、騒音や振動が発生しません。空気を取り入れるファンなどから少し音が出ますが、他の発電装置と比べるとたいへん低騒音・低振動です。

以上の数々の理由から、燃料電池は期待されているのです。 国では、燃料電池を新エネルギー(※)の一つとして位置づけ、経済産業省を中心に、燃料電池の開発と実用化のために積極的に計画を立てて、研究機関を支援しています。
地球温暖化防止への取り組みが求められる中、エネルギーおよび環境問題を解決するための国の計画の柱として、平成6年、「新エネルギー導入大綱」が作られました。

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